LECTURE: 2本の映画と都市構造について ~ 雲と影からなるもの、大気のアルペジオ、そしていくつかのヨーロッパの都市に触れて

ゲスト: ロン・ケンリー氏(L'école nationale supérieure d'architecture de Paris La Villetteフランス国立建築大学パリ・ラヴィレット校教授)

フランス国立建築大学パリ・ラヴィレット校教授ロン・ケンリー氏をお招きしたトーク。内容は、映像2作品の上映、それにケンリー氏ご自身が手がけたヨーロッパの都市ベースのプロジェクトの紹介に続き、氏による映像作品と建築や都市デザインとのつながりをうかがうというもの。

ケンリー氏とフランスの哲学者ジャン・アタリとのコラボレーション映像作品『Arpeggio』(2010)は、1786年に英国で実施された熱気球飛行の軌跡を、当時と現在の地図と航空写真に重ね合わせる方法で再現するプロジェクト。当時の世界では、都市を占有する概念が、上空からの眺めにより地図に記されている土地(=都市)を獲得する、という概念があり、あくまで視覚的要素であったことを示唆するもの。

後半の映像と建築のつながりについては、フェルナン・レジェ、エイゼンシュテイン、クリス・マルケルなどの作品の話に加え、社会学者ペーター・スローターダイク(Peter Sloterdijk)による皮肉と曖昧さの混在する現代社会(ヨーロッパ現代都市)の風刺性に表現のヒントがあるのでは、という話があった。