ワークショップ |(re)DISCOVER YOKOHAMA〜ヨコハマ再発見 シーズン2
「でもわたしはいつまでこうしてこの坂道を通うつもりなのだろう、紅子はふっと自分をふりかえってみた」
立原正秋『トランプ遊び』(1966)
「横浜 光る街 雨が降る まるで古い映画さ」
細野晴臣『北京ダック』(1975)
一見捉えるのが難しい「都市ヨコハマ」のイメージを、横浜市の6大都市事業に重ねあわせ、果たしてその上で「ヨコハマ」が、どのようにメディア(映画、アニメ、小説、マンガ、歌など)に描かれたのかを検証し、同時に横浜の都市計画や建築を考えながら表現したり語り合いながらあぶり出して行く「異分野を交錯させ」「感性を共有」するワークショップの第2シーズン。
前回の横浜市立大学での2日間の試みを、横浜市民参加者からの要望もあり、月1回開催の通年企画とした。シーズン2では、本格的に横浜市の都市デザイン や建築に関する参考文献(岩崎駿介『横浜の都市デザイン』など)を取り入れ互いに知識を高め合いながら、「坂の多さ」、「色彩感」など前シーズンで見出した個別のテーマを発見した参加者は、そのテーマをさらに深め展開させるための表現を探求した。また、表象文化論・建築論・都市論・美術論・映画論なども加え、都市・横浜とメディアの交差的に検討した。
横浜を背景としたメディア作品の研究に加え、今回はリアルとの比較のために、都市計画界のレジェンドの方に「B級ヨコハマツアー」と題する、煌めくベイアリア(みなとみらいや、中華街、山下公園辺り)とは異なるディープな、大岡川沿いの裏横浜のまち歩きツアーの案内をして頂いた。メディア作品の取組みは、たとえば、参加者全員で立原正秋『トランプ遊び』を参照し、その描かれた1960年代半ばのベイエリアの一つの断面を想像する試みや、昭和22年の流行歌『港の見える丘』のように時代とともに歌い継がれる横浜の歌の聴き比べだ。
1年という長期間、横浜に通い続け様々なものを見つけた。今回中でも特徴的と思われる点は、横浜におけるSFや、近未来ファンタジー作品の多さだ。今後のワークショップでは、これら横浜に関する全てのメディア作品を貴重な文化資料・資源と捉え、それらを仮想の建築、風景、都市空間、対象敷地と見立て、そこで大胆な構想をさらに押し進めることになった。
地道ながらも年間を通して現地に赴きリサーチを続け、そしてその場で考え表現する活動ができたことで、視野も広がり多くの横浜市民の方とも交流することができた創造的な1年だった。
表現:Tomoko Shoji, Masao Yonehara, Hiroshi Yanagihara, Ayako Shikita, Masumi Nakashima, Takashi Kume, Namio Ohmichi 他
マネージメント: Kyoko Sugano
プロデュース: Keiichi Ogata
- 後援:
- 横浜市芸術文化振興財団
- 協力:
- 日本都市計画家協会
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