オスロ建築・デザイン大学のスタジオB3のロルフ・ゲルストラウァー教授と所属の学生達を迎えた交流セッションは、同研究室アシスタントで中国・上海出身のチャンクン氏のノルウェーからCATへのコンタクトにより実現した。彼らはCATと同じ”建築+映画”理論を研究中。両者が互いに近年のプロジェクトを説明しながら親睦を深めた。以前、ピーター・ズントー事務所の所属建築家だったロルフ氏の話しのなかでも特に興味深かったのは、教授が唱える、現代建築デザインは、外的要因をいかに捉え再構成するかによる、という理念で、それは偶然の産物(発見)*が重要である、ということ。その偶然に見つけたものをいかに知的挑戦として建築デザイン理論として昇華するのか、を映画理論を交えながら試みているそうで、その考え方はCATにおける、(結論をあえてイメージせず)展開プロセスにおいて見出す無意識な閃きの大切さ、に近いものを感じ、多いに賛同する考え方だった。同じ考えや志を持つものはたとえユニークでも国境を越え結びつくことをこれまでの英国リーズベケット大学や韓国との交流も含め実感した。ちなみに、ノルウェーからの一行はこの後、京都や中国地方で”日本の伝統建築と人の儀式や習慣の介在する関係性”を体験・調査し帰国した。
*偶然の産物と似たような事例は、千田勝氏を招いた「シネマティック・カフェ:物語と建築 3」においても「デリーブ」として度々引用されているので参照されたい。